AGAは自然に治らないって本当なの?

近年、マスメディアなどに盛んに取り上げられたことで世間でもよく知られるようになった言葉に、AGAがあります。

AGAはAndrogenetic Alopeciaという言葉の略語で、日本語では男性型脱毛症といいます。

簡単に言えば、皮膚病や外傷といった特別な要因がないにも関わらず、抜け毛が増え、頭髪が薄くなっていくことをいいます。

頭頂部と前額部の生え際の抜け毛が著しいのが特徴で、毛が細くなったりすることもあります。

思春期以降の男性に見られる現象であり、わが国では男性の約4人に1人が悩んでいると言われています。

AGAには個人差があり、ほとんど発現しない人もいれば、発現しても進み具合が速い人と遅い人がいます。

ただ、何も対策を取らずにいると確実に進行し、多くの場合禿頭へ至ります。自然に治ることはありません。

「症」という語が使われているものの、AGAは決して病気ではありません。

加齢に伴う身体の自然な変化のひとつです。

その発生のメカニズムには、遺伝的要素が大きく関係しているとされています。

AGAの発生には、テストステロンと呼ばれる男性ホルモンが関わっています。

テストステロンは筋肉や骨を強くしたり、生殖器を形成したりするのに重要な働きを持っています。

つまり、「男性らしさ」を作り上げるのに不可欠な物質ということになります。

テストステロン自体には抜け毛を増やすような作用はありませんが、これが5αリダクターゼという体内酵素の影響を受けると、ジヒドテストステロンという物質に変換されます。

このジヒドテストステロンこそが、AGAの原因物質となるのです。

薄毛になる原因はジヒドテストステロンの発生?

頭皮付近でジヒドテストステロンが発生すると、毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体(レセプター)と結びつきます。

すると発毛を促す働きが弱まり、毛の自然な抜け替わり・生え替わりサイクルに狂いが生じます。

その結果、毛が十分に成長しきらないうちから脱毛が始まってしまい、薄毛になってしまうのです。

テストステロンの分泌量には、個人差がそれほどありません。

しかし体内酵素である5αリダクターゼの量にはかなりの個人差があります。

そのため、5αリダクターゼの分泌量が多い人ほどジヒドテストステロンの発生量も多くなり、AGAも進行しやすくなります。

5αリダクターゼの活性は、遺伝子によって決定されることが分かっています。

つまりジヒドテストステロンが多く発生しやすい人、すなわちAGAになりやすい人は生まれつき決まっているのです。

したがってAGAはいったん発現してしまうと、自然には治らないのです。

治らないAGAに対策はムダ?

では、治らない以上AGAにはどんな対策を講じてもムダかというと、決してそんなことはありません。

生活習慣を工夫すれば、ある程度はジヒドテストステロンの量を減らすことができます。

たとえば適度な運動と十分な水分補給を行えば、ジヒドテストステロンを汗や尿とともに体外に排出することができます。

また、大豆食品やシジミ、レバーなどには5αリダクターゼの分泌を抑える作用のある成分が含まれていることが分かっています。

さらに、医薬品によって5αリダクターゼの働きを阻害することも可能です。

この薬品はフィナステリド、あるいはデュタステリドといい、いずれもAGA治療薬として国の承認を受けています。

皮膚科やメンズクリニックといった医療機関を受診すれば、処方してもらえます。

こうした医療機関では遺伝子検査も実施しているので、抜け毛が気になる人はこの検査を受ければ自分が上に述べたような遺伝的要因によって薄毛になっているのかどうか、言い換えればフィナステリドやデュタステリドを使用すれば改善が期待できるのかどうかを知ることができます。